タデ藍の乾燥葉で染めて見たけど思っていたような藍色にならなかった人のために
タデ藍の生葉中での藍色素はインディカンという形で存在していますが、乾燥葉にするとインディゴに変化します。インディゴを繊維に染着させるには 還元→酸化工程 、即ち、 藍建て が必要になります。藍建てには、発酵建てと化学建てがあります。
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◆ 発酵建て
乾燥葉の発酵建ては、蒅藍の灰汁汁発酵建てのような工程を経なくてもほぼ失敗せずに小規模で建てることが出来ます。ただし、乾燥葉にしてからの保存期間が長くなると発酵し難くなるので1年以内のものが良いと思います。還元菌と酵素の活性条件に違いがあるので、そこだけしっかり押さえておけばうまく行きます。多分。
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還元菌の生育 | 酵素の生成(活性) | |
温度 | 20℃~35℃ | 30℃(45℃~50℃) |
アルカリ | pH10.0~pH11.5 | pH10.0~pH11.0 |
酸素要求性 | 好気 | 嫌気 |
・仕込み
縦長の容器(口の直径が高さより小さいものがよい)に乾燥葉を入れて、浸る程度の熱湯を注いでからアルカリ剤を添加する。そして、乾燥葉の重さの40倍量のお湯を30℃前後になるように加減しながら満たす。PH11.5前後になっていればOK。低ければアルカリ剤を適宜追加する。
<例>
乾燥葉:100g
アルカリ剤:消石灰10g~
容器:ポリバケツ蓋付き5~6L
その他必要な用具:PH試験紙(PH10~PH12)・水温計・秤(500g用)
・管理
発酵が始まるまでは出来るだけ液温を高く保ち還元菌の増殖を促す。それまで攪拌は行わない。毎日PHを測り、下がり始めたら染液の表面と底部の条件を均一にするため1日1回攪拌を行う。
PH11.0以下になったら、PH11.0を超えないように消石灰、もしくは、苛性ソーダを添加する。試し染めとしてティッシュをしばらく浸してから水で洗い、青くなっていれば発酵還元している。液の状態や匂いからでも判断ができる。
還元が見られなくてもPHが下がり続けているなら、還元菌は生きているのでじっとがまん。また、PHが11.0以上の状態が続く場合は液温を上げると良い。
攪拌をして真ん中に藍の華(酸化して結晶化した藍色素=インディゴ)が現れたら還元良好。
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さて、ここまで来ればあとは染めるだけなのですが、発酵建ては化学建てに比べて還元力が弱いので欲張って染めないことです。染めていて泡が白くなって来たら休ませてあげましょう。25L容器なら100g位の糸か布を数日かけて染めると良い色に仕上がります。染める際は、網かざるを沈めて沈殿物が付着しないようにしましょう。
PHは10.5~11.0の間で管理します。染めない日が続く場合は液温を下げておくと管理がしやすくなります。時に不調に陥りますがPHが適正であれば死ぬことはありません。表面に氷が張っても死なずに越冬します。だんだん悪臭がしてきますが慣れましょう。化学建て(ハイドロ)はもっと臭いですから。
どうやっても発酵しない場合は、化学建てで行きましょう。
尚、消石灰、特に苛性ソーダ(劇物)は取り扱に注意しましょう。
参考資料
川人美代子「阿波藍」(2010)
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!アルカリ剤について
アルカリ剤は何を使ってもよいのですが、取り扱いに注意が必要なものがありますので少し詳しく説明します。ここは流さないでしっかり理解して下さい。アルカリは藍建ての基本中の基本なのです。
藍染に使う主なアルカリ剤は、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)・消石灰(水酸化カルシウム)・ソーダ灰(炭酸ナトリウム)・木灰です。
● 苛性ソーダ(水酸化ナトリウム) : 強アルカリ性(劇物)。たんぱく質を腐食させるので皮膚への付着にくれぐれも注意すること。また、水に溶かすと発熱するので決して熱湯を注いだり、もしくは、熱湯に入れないこと。<例>では、安全性を考慮して挙げなかったが、現代の藍建てには欠かせないアルカリ剤。
● ソーダ灰(炭酸ナトリウム) : 苛性ソーダに二酸化炭素を反応させて得られる安全なアルカリ剤。藍建てに使用する場合、苛性ソーダの4~5倍の分量を要する。主にPHの微調整に使う。冷水では溶け難いのでぬるま湯で溶かす。
● 消石灰(水酸化カルシウム) : 強アルカリ性であるが苛性ソーダより効力は弱い。目に入ると危険。水に少量溶けて効力が持続する。主に、発酵建てのPH管理に用いる。水にほとんど溶けないので沈殿物が溜まっていくのが難点。
● 木灰 : 強アルカリ性~。主成分はカリウムとカルシウムの酸化物及び炭酸塩。伝統的な藍建て(灰汁発酵建て)に使用するが、品質にかなりばらつきがあるので使わないのが無難。
★乾燥葉について
刈り取った藍葉は速やかに乾燥させなければ藍色素(インディゴ)の生成が不十分になりますので、晴天の日を選ぶか、もしくは、瞬間冷凍にするのが良いでしょう。
★簡易な蒅作り
乾燥葉は容積が大きいので、蒅にすることにより濃厚な染液を作ることが出来ます。
作り方は、玉ねぎを入れる網袋に乾燥葉を平らになる位の量を入れて、木陰などのやや湿った場所にごく浅く掘った土の上に置いて落ち葉か草の葉を乗せて、1年間放置。忘れなければ途中上下を返してやれば完璧です。発酵熱が上がらないので葉緑素が残りますが、気にしないことにしましょう。また、藍色素が分解されないか気になるところですが、大丈夫です。
手板法で確認
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◆ 化学建て
この先延々工事中です。